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「うちの子、ゲーム中毒?」と思ったら読んでほしい。脳科学とプログラミング教育で「消費する脳」を「創造する脳」へ書き換える方法

■ はじめに:なぜ、子供の声が届かなくなるのか

「ご飯だよと言っても、スマホを置かない」 「注意するとキレる、あるいは無視する」 「ゲームを取り上げると、この世の終わりのような顔をする」


ゲームやショート動画中毒は今、私の運営するプログラミング教室や、オンライン授業の現場で、保護者の方から最も多く寄せられる悲痛な悩みです。 「うちの子は意志が弱いのでしょうか?」「性格がだらしないのでしょうか?」と自分や子供を責める親御さんもいます。


しかし、現役のIT教育者として、そして私自身も悩み、リサーチを重ねてきた一人の大人として断言します。 お子さんの性格が悪いのではありません。脳が「ハッキング」されているだけなのです。


本記事では、リサーチした最新の脳科学的見地と教育現場での実例を交え、子供たちを「デジタルの消費者」から「未来のクリエイター」へと変えるため教室で試行錯誤してみた具体的な処方箋をお伝えします。


■ 第1章:教室で見かける「脳をハッキングされた」子供たち


言葉が通じない? 現場で起きている異変

大分県の教室や全国の生徒たちと接していると、「デジタルの毒」に深く侵されている子供には、はっきりとした共通点が見えてきます。


それは、「自分を客観視できなくなっている」という点です。


授業中、少しでもプログラムが動かないと、試行錯誤する前に「できない」「わかんない」と即座に投げ出します。そして、先生が話している最中であるにもかかわらず、マウスを動かして別のゲーム画面を開いてしまうのです。 こちらが「今は説明の時間だよ」と注意しても、まるで耳が聞こえていないかのように無視をしたり、自分に都合の良いことしか返事をしなかったりします。


これは単なる反抗期ではありません。 ショート動画やゲームが提供する「強烈で即効性のある刺激」に脳が慣れすぎてしまい、「人の話を聞く」「粘り強く考える」といった、報酬がすぐに得られない活動に耐えられなくなっているのです。


現代病「ポップコーン・ブレイン」の正体

この現象は、専門的には「ポップコーン・ブレイン」とも呼ばれます。ポップコーンが熱で弾けるように、脳が次々と新しい刺激(スワイプした次の動画、ゲームのレベルアップ音)を求め、現実世界のゆっくりとしたペースにイライラしてしまう状態です。


彼らの脳内では、ドーパミン(快楽物質)の回路が、スロットマシーンのような「予測不能な報酬」によってジャックされています。この状態にある子供に、精神論で「我慢しなさい」と説くのは、溺れている人に「泳ぎ方を思い出せ」と言うくらい困難なことなのです。



■ 第2章:唯一の解決策は「快感のベクトル」を変えること

では、デジタル機器を全て取り上げれば解決するのでしょうか? 現代社会においてそれは非現実的ですし、子供が持つ素晴らしい「好奇心」まで殺してしまうことになります。

重要なのは、その有り余るエネルギーの蛇口を、「消費(Consumer)」から「創造(Creator)」へと繋ぎ変えてあげることです。


「ファスト・ドーパミン」から「スロー・ドーパミン」へ

ショート動画で得られる快感は、努力なしで手に入る「安価なドーパミン」です。 一方で、創作活動で得られる快感は、苦労してバグを直し、作品が完成した時にじわじわと湧き上がる「高価なドーパミン」です。スポーツはこのドーパミンですね。


私の教室では、この「高価なドーパミン」の味を教えることに全力を注ぎます。一度この達成感を知った脳は、徐々に「ただ見るだけの退屈な時間」を嫌うようになります。これができるようになった生徒は、もう大丈夫でした。


■ 第3章:子供のプライドを刺激する「魔法の問いかけ」

脳がハッキング状態にある子供たちに、私が必ず投げかける質問があります。


「君は一生、誰かが作ったゲームに課金する『消費者』で終わるの?」 「それとも、ゲームを作って誰かを楽しませる『クリエイター』になる?」


この極端な二択を突きつけると、多くの子供はハッとして目の色を変えます。彼らは本来、好奇心が旺盛でプライドが高いのです。「自分が誰かの手のひらで踊らされている(搾取されている)」と気づかせることが、覚醒への第一歩です。


自分で決める」が特効薬になる

「クリエイターになる」と決めた子に対して、私は「これを作りなさい」とは言いません。 「今日、何を作る?」と聞きます。


大人には理解できないような些細なことでも、子供が「自分で決めた(自己決定)」目標に対しては、驚くべき集中力を発揮する瞬間(波)が必ず来ます。この「没頭体験」こそが、ハッキングされた脳を正常な状態へ、さらには「スーパー・ゾーン」へと書き換える治療行為なのです。



■ 第4章:ゲーム作りは「社会」を学ぶ最強のマーケティング

クリエイターの視点を持つと、子供たちの思考は「自分」から「他者」へと広がります。

自分が作ったゲームを、もっと多くの人に遊んでもらいたい」 そう思った瞬間、彼らは無意識にマーケティングのリサーチを始めます。


  • 「難しすぎて誰もクリアできない。もっとヒントを出そうか?」(=ユーザービリティの改善

  • 「サムネイルがつまらないからクリックされないんだ」(=広告・PR視点

  • 「友達はどんなゲームなら喜ぶだろう?」(=市場調査・他者理解

  • 「この素材使ってもいいかな?著作権大丈夫かな?」(=リスクアセスメント


自分勝手で人の話を聞かなかった子が、「遊んでくれる相手」のことを必死に考え始める。これは、デジタルリテラシー教育であると同時に、「社会の仕組み」「クリティカルシンキング(批判的思考)」を学ぶ最高の実践教育です。教室でもできるだけ、生徒が作った作品は公開してあげます。(先生のフィルターは通して大丈夫であれば)たくさんの人にフィードバックをもらった方がモチベーションや自信がつきますからね。


■ おわりに:大人が最初の「ブレーキ」になろう

もし、お子さんが今、ゲームや動画から抜け出せずに苦しんでいるなら、どうか「その子が悪い」と諦めないでください。彼らは、強力なアルゴリズムという武器を持った大人たちに、丸腰で戦いを挑まされているようなものです。


だからこそ、最初は私たち大人が「介入」する必要があります。 物理的にスマホを離す時間を作る(デジタル・デトックス)、そして「消費者か、クリエイターか」という視点や考える時間を与え、社会の仕組みを教えてあげる。 大人が「外部の脳(ブレーキ)」となり、補助輪の役割を果たしてあげることが重要です。


「そんなに好きなら、作る側になって公開してみない?」


今日から家庭で、そんな言葉をかけてみてください。その一言が、中毒という「鎖」を断ち切り、未来を切り拓く「翼」になるはずです。大人の協力は必須ですが、子供たちの職業体験にもつながります。そういう子は興味ないことはやらないので、ぜひいろんなとろこに連れて行ったり挑戦させてください


この記事は、教室での実体験をもとにしていますので、参考までに!今の変化の激しい時代、大人もめげずに根気強く指導していきましょう!


■ 参照・引用資料

本記事の執筆にあたり、以下の資料・研究を参照しました。

  1. ショート動画と脳の報酬系について

  2. 「ポップコーン・ブレイン」現象

  3. WHOガイドラインとスクリーンタイム

  4. 創造的活動(プログラミング)の教育効果

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